こんにちは。とも皮膚科クリニック(開業準備中)です。
12月に入りますます寒くなってきましたね。群馬県ではこの季節、からっ風が吹いて空気が乾燥しています。それに伴い乾燥肌で悩まれている方も多いと思います。
そこで今日は乾燥肌についてのお話をしたいと思います。
乾燥肌とは?乾燥肌の症状は?
乾燥肌は医学用語では「乾皮症」もしくは「皮脂欠乏症」という名前で呼ばれます。乾皮症は文字通り、皮膚が乾燥した状態を示しています。一方、皮脂欠乏症は、皮膚の脂分(皮脂)が不足した状態を指し示しています。言い方は異なりますが、いずれも同じ症状を意味する言葉と考えていただいて構いません。
乾皮症は、皮膚の一番外側に当たる「表皮」の水分量が低下することでおこります。乾皮症の皮膚はツヤツヤした光沢が失われ、ザラザラ・カサカサしてきます。ひどくなると粉をふいたり、ひび割れをおこすこともあります。
とくに皮膚が乾燥しやすい向こう脛(下腿前面)は乾皮症の症状が出やすいです。そのほかにも背中や腕にも症状が出ることがあります。
皮膚の乾燥がひどくなると、かゆみを感じるようになります。かき壊しているうちに湿疹をおこし、(皮脂欠乏性湿疹と言います)、かゆくてまたかいてしまう悪循環に陥ってしまいます。こうなると治すのにも手間がかかります。
乾燥肌の原因は?
乾皮症の原因は大きく以下の3つに分けられます。
- 生理的要因:年齢等による皮膚生理機能の変化
- 環境要因:冬季乾皮症に代表される外気や室内空調による低湿度環境,紫外線療法を含めた紫外線曝露,過度の入浴,脱脂作用の強い洗浄料や擦り洗いなど不適切なスキンケア
- 非生理的要因:皮膚疾患及び全身性疾患あるいは抗がん剤の投与及び放射線治療といった医療行為に起因(医原性)
皮膚の重要な機能の1つに、バリア機能があります。皮膚は体の内側と外側を隔てているバリアであり、体の中からの水分の蒸発を防いでいます(皮膚がないと、人間は体じゅうの水分を失って死んでしまいます)。
皮膚のうるおいを保つために、角層細胞間脂質、天然保湿因子、皮脂、汗などが重要な働きをしています。高齢者では、皮脂腺の機能が低下することで文字通りの皮脂欠乏症が起こるだけでなく、汗腺の機能低下や天然保湿因子の減少などの理由から、皮膚が乾燥しやすい傾向にあります。
また、皮脂腺の発達には男性ホルモンが重要です。思春期以前の小児では皮脂腺が発達しておらず、皮脂の分泌がほとんどないため、皮膚が乾燥しやすいです。
さらに小児では、皮膚の一番表面にあたる角層の厚みが成人の1/2〜1/3程度しかないため、そもそも皮膚が乾燥しやすいと言えます。
また、皮膚が乾燥すると、かゆみを伝える神経(C線維)が皮膚の表皮の中にまで枝を伸ばすことによって、かゆみを感じやすくなることが研究でわかっています。この皮膚の乾燥によるかゆみには、一般的なかゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)は効きづらいと言われています。
【悲報!】寒暖差肌荒れ注意度で、群馬県は全国2位!
2020年に化粧品会社の資生堂が日本気象協会と協力して発表した「寒暖差肌荒れ注意度 全国ランキング」において、群馬県は北海道に次いで全国2位にランクインしています。
北部・東部・西部は高い山々によって三方を取り囲まれ、南東部のみ関東平野に向かい開けている起伏の多い複雑な地形は、冬のからっ風など群馬県の気候に大きな影響を及ぼしているとされています。群馬県民の皆さまは、より一層日々のお肌の保湿に取り組んでいただきたいと思います。
乾燥肌の治療
乾皮症の治療の基本は保湿剤を塗ることです。1日2−3回塗ることをオススメしています。うち1回は、入浴直後に塗るのが良いです。これは、入浴直後は皮膚の水分量が高まっていることと、入浴するときには誰しも裸になるので、全身に薬を塗るのによいタイミングだからです。
湿疹を伴っている場合(皮脂欠乏性湿疹)は、湿疹の部分にステロイド軟膏を塗ります。ステロイドの軟膏は湿疹の部位や、症状の強さによって使い分けていますので、医師の指示にしたがって薬を塗り分けるようにしてください。
皮膚の保湿をすることは、湿疹やアレルギー、皮膚感染症の予防にもつながりますので、日々のスキンケアを大事にしていただきたいと思います。