パッチテストはかぶれ(接触皮膚炎)の原因を調べるための検査です。かぶれの原因を特定することで、原因との接触を避けることができ、皮膚症状の改善につながります。
パッチテストの手順、スケジュール
原因として疑われる物質を薄いシール状のテープに含ませ、患者さんの背中や腕などの健康な皮膚に貼付けます。48時間後にテープを剥がし、30分待機した後に1回目の判定を行います。48時間後、72時間後、7日後の3回のタイミングで判定を行います。
当院では以下のスケジュールでパッチテストを実施しています。
- 火曜日:受診して背中にパッチテストテープを貼る
- 木曜日:1回目判定(貼付48時間後)
- 金曜日:2回目判定(貼付72時間後)
- 火曜日:3回目判定(貼付7日後)
パッチテストテープを貼ってから1回目の判定までの48時間は汗をかくことは厳禁です。入浴やシャワー浴は不可、汗をかくような激しい運動はしないでください。
このため夏期は実施できず、おおむね11月〜3月くらいまでがパッチテストの実施可能期間となります。
当院では佐藤製薬のパッチテストパネル(S)と、鳥居製薬の金属アレルギーシリーズのパッチテストを取り扱っています。
パッチテストパネル(S)について
日常生活の中で肌に触れるものすべてがかぶれの原因となり得ます。その中でもとくにかぶれを起こしやすい成分を、日本接触皮膚炎学会がピックアップしたものがジャパニーズスタンダードアレルゲンです。
パッチテストパネル(S)は、ジャパニーズスタンダードアレルゲンの22種を検査するためのキットになります。
検査可能な項目
- 硫酸ニッケル
- ラノリンアルコール
- フラジオマイシン硫酸塩
- 重クロム酸カリウム
- カインミックス
- 香料ミックス
- ロジン
- パラベンミックス
- 陰性対象
- ペルーバルサム
- 金チオ硫酸ナトリウム
- 塩化コバルト
- p-tert-ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂
- エポキシ樹脂
- カルバミックス
- 黒色ゴムミックス
- イソチアゾリノンミックス
- 陰性対象
- メルカプトベンゾチアゾール
- パラフェニレンジアミン
- ホルムアルデヒド
- メルカプトミックス
- チメロサール
- チウラムミックス
※ No.9とNo.18は陰性対象です。
検査費用
3割負担の方:約6,000円
1割負担の方:約2,000円
鳥居薬品金属アレルギーシリーズについて
ピアスやネックレス、指輪等のアクセサリや腕時計、ベルトのバックルの金属などでかぶれの症状を起こす方があります。その他、歯科金属アレルギーや、金属を多く含む食品の摂取による全身の皮膚炎を起こす場合もあります。
金属アレルギーと診断された方は、歯科治療においてCAD/CAM冠(白いかぶせ物)の保険適応範囲が拡大します。歯科治療中で金属アレルギーの疑いがある方は是非ご相談ください。
統計では金属アレルギーを起こしやすい金属の上位は、ニッケル(24.8%)、金(23.2%)、コバルト(7.9%)、水銀(5.3%)、クロム(2.3%)と報告されています。
検査可能な項目
当院では鳥居薬品の試薬を用いて、以下の16種類の金属に対してパッチテストを実施しています。
- アルミニウム
- コバルト
- スズ
- 鉄
- 白金
- パラジウム
- マンガン
- インジウム
- イリジウム
- 銀
- 重クロム
- ニッケル
- 亜鉛
- 金
- 銅
- 水銀
検査費用
3割負担の方:1,110円
1割負担の方:370円
よくある質問
参考文献
- 接触皮膚炎診療ガイドライン2020
- 接触皮膚炎の臨床と検査について
- パッチテストの手技と結果の活かし方
- JSAの陽性率から見る日本人の金属アレルギー
- 最近5年間の金属アレルギー患者に対する皮膚貼付試験の検討
- 金属アレルギーの対処法~全身型金属アレルギーを中心に~
- 金属アレルギーUp to date 歯科の立場から
- 金属アレルギー:皮膚科の立場から,どんな皮疹が出現するか?その対処法は?