AGA(男性型脱毛症)とは?原因・症状・治療について皮膚科専門医が解説します

髪のボリュームが減ってきた、抜け毛が増えた、生え際や頭頂部が薄くなってきた気がする。このようなお悩みの背景には、AGA(男性型脱毛症)が関係していることがあります。

AGAは、思春期以降の男性にみられる進行性の脱毛症です。年齢とともに少しずつ進行することが多いため、「年齢のせいだから仕方がない」と考えてしまう方も少なくありません。しかし、AGAは原因や治療法について研究が進んでおり、医学的根拠に基づいた治療を選択できる疾患です。

一方で、薄毛や抜け毛の原因はAGAだけではありません。円形脱毛症、頭皮の炎症、薬剤、体調不良、ホルモン異常などが関係していることもあります。自己判断で育毛剤やサプリメントを続ける前に、まずは脱毛の原因を確認することが大切です。

この記事では、AGAの症状、原因、診断、治療について解説します。

目次

AGAとは

AGAとは、Androgenetic Alopeciaの略で、日本語では男性型脱毛症と呼ばれます。

男性型脱毛症は、思春期以降に始まり、ゆっくりと進行していく脱毛症です。前頭部の生え際や頭頂部の髪が少しずつ細くなり、髪の密度が低下していきます。

AGAでは、髪の毛が突然すべて抜け落ちるわけではありません。毛が抜けるというよりも、1本1本の毛が細く短くなり、十分に伸びる前に抜けてしまうことが特徴です。その結果、地肌が透けて見えたり、髪全体のボリュームが減ったように感じたりします。

AGAの症状

AGAでよく見られる症状は、以下のようなものです。

  • 前髪の生え際が後退してきた
  • おでこが広くなったように感じる
  • 頭頂部の地肌が目立つ
  • 髪の毛が細く、やわらかくなった
  • 髪型が決まりにくくなった
  • 抜け毛が増えたように感じる

AGAの進行パターンには個人差があります。前頭部から目立つ方もいれば、頭頂部から薄くなる方もいます。前頭部と頭頂部の両方が同時に進行することもあります。

また、抜け毛の本数だけでAGAを判断することはできません。大切なのは、髪の太さ、密度、脱毛の分布、頭皮の状態を総合的に確認することです。

AGAの典型的なパターン

AGAの脱毛症状はパターン化しており、主に以下の3つのタイプに分かれます 。

  • M字型(前頭部からの後退):額の生え際の両側(ソリコミ部分)から徐々に後退していくタイプ。
  • O字型(頭頂部からの薄毛):つむじの周辺から円形に髪が薄くなり、地肌が広がっていくタイプ 。
  • 混合型:前頭部の後退と頭頂部の薄毛が同時に進行していくタイプ。

いずれのタイプも、「側頭部(耳の上の髪)」や「後頭部(後ろの髪)」はしっかりと残るという特徴があります。これは、AGAの原因となる「5α還元酵素Ⅱ型」が、主に前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に特異的に存在しており、後頭部などにはほとんど存在しないためです 。

Hamilton-Norwood分類とは

AGAの進行度を評価する際によく用いられるのが、Hamilton-Norwood(ハミルトン・ノーウッド)分類です。

これは男性型脱毛症の進行パターンをⅠ型からⅦ型まで分類したもので、AGAの重症度や治療効果の評価に役立ちます。

  • Ⅰ型:ほぼ正常な状態
  • Ⅱ型:生え際がわずかに後退
  • Ⅲ型:生え際の後退が明らかになる
  • Ⅳ型:前頭部と頭頂部の薄毛が目立つ
  • Ⅴ型:前頭部と頭頂部の脱毛範囲が拡大
  • Ⅵ型:前頭部と頭頂部の脱毛部がつながる
  • Ⅶ型:側頭部と後頭部を残して広範囲に脱毛

実際の診療では、この分類だけで診断するわけではありませんが、現在の進行度を把握し、治療方針を検討する際の参考になります。

AGAの原因

AGAには、男性ホルモンの働きと遺伝的な要因が関係しています。

男性ホルモンの一種であるテストステロンは、体内で5α還元酵素という酵素の働きにより、DHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。このDHTが毛根に作用すると、髪の成長期が短くなり、太く長く育つはずの髪が細く短いまま抜けやすくなります。

髪の毛には、成長期、退行期、休止期という毛周期があります。通常、髪は成長期に太く長く伸びていきますが、AGAではこの成長期が短縮します。そのため、十分に成長しない細い毛が増え、全体として薄く見えるようになります。

AGAは「男性ホルモンが多いから起こる」という単純なものではありません。DHTへの変換のされやすさ、毛根の感受性、家族歴などが関係していると考えられています。

AGAと間違えやすい脱毛症

薄毛や抜け毛の原因はAGAだけではありません。見た目が似ていても、原因や治療法が異なることがあります。

代表的なものとして、以下のような疾患があります。

  • 円形脱毛症
  • 休止期脱毛症
  • 脂漏性皮膚炎に伴う脱毛
  • 甲状腺疾患に伴う脱毛
  • 貧血や栄養状態の変化に伴う脱毛
  • 薬剤性脱毛
  • 頭皮の湿疹、かぶれ、感染症

円形脱毛症では、円形または楕円形に境界がはっきりした脱毛斑ができることがあります。休止期脱毛症では、発熱、強いストレス、急激な体重減少、出産、手術などをきっかけに、全体的な抜け毛が増えることがあります。

頭皮に赤み、かゆみ、フケ、痛みがある場合には、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎などの炎症が関係していることもあります。

このように、脱毛症は原因によって治療方針が異なります。AGAだと思って治療を始めても、別の原因が隠れていれば十分な効果が得られない可能性があります。

脱毛症の診断には皮膚科の専門的な知識が必要です。皮膚科専門医は、頭皮や毛髪の診察に加え、ダーモスコピーによる観察や必要に応じた検査を行い、AGAなのか、それとも別の脱毛症なのかを見極めます。適切な診断を受けることが、遠回りを避けて効果的な治療につながります。

AGAの診断

AGAの診断では、脱毛の経過、家族歴、脱毛の分布、髪の太さ、頭皮の状態などを確認します。

診察では、前頭部や頭頂部の状態を観察し、AGAに典型的なパターンかどうかを判断します。必要に応じて、ダーモスコピーという拡大鏡を用いて、毛の太さのばらつき、毛穴の状態、頭皮の炎症の有無などを確認します。

AGAでは、太い毛に混じって細く短い毛が増えていることがあります。このような毛の細小化は、AGAを考えるうえで重要な所見です。

一方で、急激な脱毛、全体的な抜け毛、頭皮の強い炎症、体調変化を伴う場合には、血液検査などを検討することもあります。

AGAの治療

AGA治療の目的は、脱毛の進行を抑え、細くなった髪の改善を目指すことです。治療は数週間で判断するものではなく、数か月単位で経過を見る必要があります。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性型脱毛症に対して、フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用が推奨されています。

治療法推奨度主な作用・特徴
フィナステリド内服A5α還元酵素「Ⅱ型」を狙い撃ちしてブロック。AGAの進行を抑えるベースのお薬 。
デュタステリド内服A5α還元酵素「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の両方をブロック。前頭部(生え際)への効果も期待できる 。
ミノキシジル外用A頭皮に直接塗ることで、毛髪の成長因子を刺激し、髪を太く育てる。

フィナステリド内服

フィナステリドは、5α還元酵素Ⅱ型を阻害する内服薬です。テストステロンがDHTへ変換される過程を抑えることで、AGAの進行を抑えることを目的に使用されます。

主に、抜け毛の進行を抑える治療として位置づけられます。効果を判断するには、少なくとも数か月単位で継続して経過を見る必要があります。

副作用として、性欲低下、勃起機能の低下、肝機能障害などが報告されています。また、前立腺がんの検査で用いられるPSA値に影響することがあるため、内服中の方は医師に申告することが大切です。

妊娠中または妊娠している可能性のある女性は使用できません。

デュタステリド内服

デュタステリドは、5α還元酵素Ⅰ型とⅡ型の両方を阻害する内服薬です。フィナステリドと同じく、DHTの産生を抑えることでAGAの進行を抑えることを目的に使用されます。

フィナステリドと同様に、効果判定には継続が必要です。副作用として、性機能に関する症状、肝機能障害などに注意が必要です。PSA値への影響もあるため、前立腺の検査を受ける際には内服中であることを伝えてください。

デュタステリドも、妊娠中または妊娠している可能性のある女性には使用できません。

フィナステリドとデュタステリドはどちらが効果的?

患者さんからよく受ける質問のひとつが、「フィナステリドとデュタステリドではどちらが効果的ですか?」というものです。

現在の研究では、デュタステリドの方がフィナステリドよりも高い発毛効果を示す可能性があると報告されています(効果には個人差があります)。デュタステリドは5α還元酵素I型とⅡ型の両方を阻害するため、DHTをより強力に抑制できると考えられています。

ただし、AGA治療の効果には個人差があり、フィナステリドでも十分な改善が得られる方は少なくありません。そのため実際の診療では、進行度や副作用への考え方、費用などを踏まえて薬剤を選択します。どちらも日本皮膚科学会ガイドラインで推奨度Aとされている有効な治療薬です。

ミノキシジル外用

ミノキシジル外用薬は、頭皮に直接塗る治療薬です。毛包に作用し、髪の成長を促すことを目的に使用されます(当院では処方していません、市販薬の購入をお勧めしています)。

内服薬がDHTの働きを抑えて進行を抑える治療であるのに対し、ミノキシジル外用は発毛を促す方向の治療と考えると理解しやすいと思います。

内服薬(フィナステリドやデュタステリド)とミノキシジル外用薬を併用することは、医学的にも単独で使うより有意に良好な結果が得られると報告されており、相性の良いアプローチです(効果には個人差があります)。

副作用として、頭皮のかゆみ、赤み、かぶれ、フケなどが起こることがあります。外用薬でかぶれてしまうと、かえって頭皮環境が悪化することもありますので、症状が出た場合は使用を中止して医師に相談してください。

治療費用等について

AGA治療は自由診療となります。

治療費用

当院では以下の料金で治療を行っています。

  • 初診料:3,300円
  • 再診料:1,100円
  • フィナステリド(28日分):5,500円
  • デュタステリド(30日分):7,700円

治療期間

  • 標準的な治療期間:少なくとも6ヶ月以上
  • 標準的な通院回数:月1回、状態の安定している方は3ヶ月に1回

治療効果を判定するまでの期間

AGA治療は、短期間で効果を判断しないことが大切です。

髪の毛には毛周期があるため、治療を始めてすぐに見た目が変わるわけではありません。一般的には、少なくとも6か月程度は継続して効果を確認します。

治療を始めた直後に、一時的に抜け毛が増えたように感じることがあります。これは「初期脱毛」と呼ばれることがありますが、すべての方に起こるわけではありません。また、抜け毛が増えた原因が本当に初期脱毛なのか、別の頭皮トラブルなのかは診察しないと判断できません。

AGA治療は、継続することで効果を維持する治療です。治療を中止すると、再びAGAが進行する可能性があります。

AGA治療で注意したいこと

AGA治療では、医学的根拠のある治療を選ぶことが大切です。

インターネット上には、育毛サプリメント、シャンプー、頭皮マッサージ、個人輸入薬など、さまざまな情報があります。しかし、AGAの進行をしっかり抑える効果が確認されていないものも少なくありません。

とくに、ミノキシジルの内服薬については注意が必要です。日本皮膚科学会のガイドラインでは、ミノキシジル内服は推奨されていません。 動悸、むくみ、血圧への影響など全身性の副作用が問題となることがあります。安易な個人輸入や自己判断での内服は避けてください。

また、治療薬には副作用や注意点があります。持病がある方、内服中の薬がある方、健康診断で肝機能異常を指摘されたことがある方は、診察時に必ず医師へお伝えください。

とも皮膚科クリニックでのAGA診療の特徴

とも皮膚科クリニックでは、薄毛という極めてプライベートなお悩みに対して、患者様が恥ずかしさや不安を感じることなく、安心してご相談いただける医療を提供しています。

1. 皮膚科専門医による「丁寧な診察・診断」

薄毛の原因は、すべてがAGAというわけではありません。中には、円形脱毛症や、頭皮の皮膚炎、ストレスや内臓疾患による脱毛など、別の病気が隠れているケースもあります。
当院では、皮膚科専門医である院長が頭皮の状態をしっかりと診察し、本当にAGAなのか、それとも別の原因があるのかを見極めた上で治療を開始します 。

2. ガイドラインに準拠した「安全性に配慮した処方」

先述の通り、当院では患者様の身体の健康を最優先に考え、科学的根拠のない高額な民間療法や、危険を伴う未承認薬(ミノキシジル内服など)の無理な押し売りは一切いたしません 。国内で承認された、確かなエビデンスを持つお薬のみを、適切な情報開示とともに処方いたします 。

3. 通いやすさを最優先したクリニック環境

AGA治療は、継続して通院することが何よりも大切です。そのため、当院では通院にかかるストレスを徹底的に減らす工夫をしています。

  • 土曜日も診療をおこなっています
    「平日は仕事が遅くて病院に行けない」「平日の仕事帰りに皮膚科に寄るのは大変」という方でも、週末のお休みの日にゆったりとご来院いただけます(土曜日の診療は完全予約制です)。
  • 広々とした駐車場を完備しています
    高崎市上中居町というアクセスしやすい立地に加え、お車でスムーズにお越しいただける駐車場をしっかり完備しています。近隣の方だけでなく、少し離れた地域にお住まいの方でもマイカーで気軽にお立ち寄りいただけます。

まとめ

AGAは、前頭部や頭頂部の髪が少しずつ細くなり、進行していく脱毛症です。男性ホルモンから作られるDHTが毛周期に影響し、髪の成長期が短くなることで起こります。

治療には、フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用などがあります。現在の研究では、デュタステリドはフィナステリドよりも高い発毛効果を示す可能性が報告されていますが、どちらもAGA治療の有効な選択肢です(効果には個人差があります)。

ただし、薄毛や抜け毛の原因はAGAだけではありません。円形脱毛症、頭皮の炎症、全身疾患、薬剤などが関係していることもあります。脱毛症には多くの鑑別疾患があるため、皮膚科専門医による丁寧な診察・診断に基づいて治療を進めることが重要です。

薄毛や抜け毛が気になる方は、自己判断で治療を始める前に、皮膚科でご相談ください。

よくある質問

AGAは自然に治りますか?

AGAは進行性の脱毛症です。自然に元の状態まで戻ることは多くありません。進行の速さには個人差がありますが、放置すると徐々に薄毛が進行する可能性があります。気になる症状がある場合は早めに皮膚科へ相談することをおすすめします。

AGA治療はいつから始めるべきですか?

AGAは進行性のため、気になり始めた段階で相談することが大切です。 毛根が完全に機能を失う前の方が治療効果を期待しやすいため、早期発見・早期治療が重要です。

市販の育毛剤だけで改善しますか?

市販の育毛剤の中にはミノキシジルを含むものもありますが、AGAの進行を抑えるためにはフィナステリドやデュタステリドなどの治療薬が必要になる場合があります。また、薄毛の原因がAGAではない可能性もあるため、まずは診断を受けることをおすすめします。

治療を始めると、どのくらいで効果がわかりますか?

一般的には、少なくとも6か月程度は継続して判断します。髪の毛はゆっくり変化するため、数週間で効果がないと判断するのは早すぎます。治療前の写真を残しておくと、変化を確認しやすくなります。

AGA治療薬に副作用はありますか?

あります。フィナステリドやデュタステリドでは、性機能に関する症状、肝機能障害などが報告されています。ミノキシジル外用では、頭皮のかゆみ、赤み、かぶれなどが起こることがあります。副作用が心配な方は、診察時にご相談ください。

若いうちから治療を始めた方がよいですか?

AGAは進行性のため、早い段階で気づいて対策を始める方が、治療の選択肢を検討しやすくなります。ただし、20歳未満の方への治療薬の使用には制限や注意点があります。年齢、症状、生活背景を含めて医師と相談することが大切です。

女性もAGAになりますか?

女性にも、加齢やホルモン環境の変化に伴って髪が薄くなる「女性型脱毛症」があります。ただし、男性のAGAとは治療方針が異なります。フィナステリドやデュタステリドは、妊娠中または妊娠している可能性のある女性には使用できません。女性の薄毛では、貧血、甲状腺疾患、膠原病、薬剤などの確認が必要になることもあります。

参考文献


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

皮膚科専門医・指導医/アレルギー専門医/医学博士/日本医師会認定産業医/がん治療認定医
2001年慶應義塾大学医学部卒業

目次